2014年11月24日

肝の働き

「肝は血(けつ)を蔵す」といわれ、身体各所への血液の分配を管理していると考えられています。そのために女性では月経などと深い関係があり、肝の働きが低下すると生理不順や更年期障害、不妊症などの症状が出ます。治療には肝に関係するツボを使うことになります。
〔ちなみに東洋医学での血(けつ)と現代の血液とはイコールではありません。〕

また怒りの感情は肝と関係があるといわれ、肝の働きが低下するとイライラしたり、なんでもないことに腹が立ったりします。

さらに「肝は筋を生ず」とあり、筋や腱、靭帯などと関係があります。そのため腱鞘炎や靭帯損傷、筋肉の痛みなどは肝に関係するツボで改善することが多いです。

そして肝は目とも関係があり、目に関する症状、例えば目のかすみや乾燥、眼精疲労なども関係があります。他にはめまいも肝のツボを使うことが多いです。

一方、現代医学の肝臓の働きは、
@物質代謝:栄養素から物質を合成したり、分解します。
A胆汁の生成:胆汁は脂肪を消化するのを助けます。
B解毒作用:有害物質の無毒化、薬物やアルコールの分解なども含みます。
C血液を固める物質の生成:出血の際、傷口の血液を固めて止血する物質を作り出します。
D血液の貯蔵
E生体防衛作用:クッパー細胞は血液中の異物を取り除きます。
となっています。大部分の機能(特に@〜B)は消化・吸収に関係があり、事実生理学の教科書には消化・吸収の章にて解説されています。

東洋医学では消化・吸収機能は後述する「脾」の働きであるため、現代での肝臓の障害は脾のツボを使うことが多くなります。名前が同じだからといって肝のツボを使ってもうまくいきません。

ここが東洋医学を勉強する上で難しいところで、学生などはよく混乱します。人によっては東洋医学の勉強をやめてしまうことも少なくありません。
慣れないうちは東洋医学・西洋医学と完全に頭を切り替えて考えたほうがいいでしょう。ただ重要なことは鍼灸・経絡・経穴(ツボ)を使う以上は東洋医学をしっかりと理解しなくてはいけません。

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posted by 続木はり院 at 22:31| 東洋医学