2015年09月11日

鍼灸と皮膚の関係

鍼灸治療ではただはりを刺すだけではなく、皮膚を刺激して身体に反応を起こさせる方法があります。また手で直接皮膚に触れて身体の変化を感知します。東洋医学では特に皮膚を大事にしてきました。そして最近の研究で、これまで外部から身を守るバリア機構としてだけ考えられてきた皮膚に高度な機能がある可能性が発見されています。

皮膚は脳と同じ外胚葉から発生します。そして皮膚と脳の間にはいくつかの共通点が見つかっています。例えば脳では複雑な情報処理を行うために神経伝達物質が情報を伝えています。この情報を受け取るための受容体が皮膚でも見つかったそうです。
それは皮膚にも高度な情報処理システムが存在する可能性を示します。そのため皮膚は「第3の脳」と言われています。(ちなみに「第2の脳」は腸と言われています)

皮膚が脳を介さず単独に情報処理を行うことができるとすれば、はりで皮膚に刺激を与えることで皮膚において複雑な反応が生じることが考えられます。

これまでもはりの刺激が神経を介して脳や内臓に伝わり、そこからホルモンや自律神経に影響を与えて、それが全身へ伝わり変化が起こるというように、現代科学の視点から鍼灸のメカニズムが研究されてきました。それでもいまだに経絡や気、ツボなどその実態が明確にされていないために、東洋医学は効果が認められながらも何やらあやしげなものとして見られる傾向があります。
しかし皮膚にはまだ未知の領域があるということで、さらに研究が進めば鍼灸の作用機序がより明確になる可能性があります。

そうなれば経絡やツボがどういうものなのか科学的に捉えることができるかもしれません。これまで東洋医学はあやしいからと敬遠してきた方も、科学的に説明されるようになれば鍼灸治療を受けてみようかなという気になるかもしれませんね。
タグ:鍼灸
posted by 続木はり院 at 22:04| 鍼灸