1年前にも鍼灸師会の主催する講演会で講師をされているので2年連続ということになります。去年は一般の方も聴講できましたが、今回は鍼灸師が主体ということでどんな話を聴けるのか楽しみでした。(去年の講演の内容はこちら)
今回の講演での話の中心になったものは、自分の中で1度あらゆる物事を整理する、つまり自分を知るという内容でした。
林先生によると予備校講師という仕事は鍼灸師と似ている部分があるとのことで、ご自身の経験を交えながら物事を整理して考えることの重要性を面白おかしく話してくれました。
その中で特に印象に残ったのが、「勉強の根本=整理」というもので、これは我々鍼灸師の臨床にも当てはまることだと思います。鍼灸治療を行う際まず患者さんの訴える症状を聞き、身体を手で触ってコリの硬さや深さ、ツボの状態、痛い場所はどこか、脈の状態はどうかなどあらゆる情報を集めますが、それを整理してうまくまとめられるかどうかが治療効果を左右します。
当たり前のことを何をいまさらと思われるかもしれませんが、臨床では教科書どおりきれいに症状があらわれることは少なく、実際にはさまざまな症状が複雑に絡みあっていることがほとんどです。
例えば教科書では腰痛や耳鳴りなどは腎、目や筋に関するものは肝、消化器系の不調などは脾というようにきれいに分類されますが、いざ現場に出てみると腰が痛くて目が疲れていて胃の調子も悪いというように症状がバラバラで一体どのツボを使えばいいのかわからなくなってしまいます。
そのようなときにバラバラな情報をお互いに結び付け、大きなひとかたまりの情報にまとめ上げるという作業が必要になるわけですね。それでようやく治療方針が成り立ち、使用するツボも決定されます。
異なる職種の方のお話しでも自分の仕事の参考になることがよくあるので、職業に限らず世の中のあらゆる事柄は根底ではつながっているような気がします。基本的なことを考えることができたので、私にとってためになる講演でした。
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