しかし鍼灸というものは2000年以上ともいわれる長い時間の中での経験の積み重ねにより出来上がったものですから、その誕生からいかにして発展してきたかを勉強することは意義のあることだと思います。

例えば現在では気が流れる経脈は12本ですが、初期の頃は11本しかなく、手の陽脈の名称も「肩脈」「耳脈」「歯脈」というように臓腑ではなく身体上部の部位名がつけられています。(現代では順番に「小腸経」「三焦経」「大腸経」となっています。)
今でも五十肩の治療に小腸経、耳鳴りや難聴などの耳の疾患に三焦経、歯の痛みに大腸経のツボを使ったりするので、はるか昔からそれぞれの部位と手のツボとの間に関連性が見出されていたのでしょう。それが時間とともに臓腑との間にも関連性が見出され、現在のように経脈に臓腑の名称がつけられたのだと考えられます。
また陰陽五行説の出現により陰経と陽経が関連づけられ、それに合わせて1本増えて12本の経脈になっていきます。
このように時代とともにそのベースとなる理論、哲学などの違いがあるのでその変遷を知ることで古典を勉強する際の手がかりとなります。
もちろん歴史を勉強したからといってそれが治療技術に直結するわけではありませんが、知識として身に着けておくことはプロの鍼灸師として必要なことだと考えています。
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