2016年11月21日

陰陽学説を臨床に活かす

東洋医学のベースとなる考え方に陰陽学説があります。陰陽学説とは自然界の中で対立した2つの事象を見出し、その関係性を理論化したものです。鍼灸の学校へ入学すると、1年生から陰陽学説を勉強しますが、現代医学からは一見するとかけ離れた考え方なので、この段階で勉強につまずいてしまう学生が多くみえます。特に理学療法士や看護師などの医療系資格を持って入学した人たちはなおさらとまどうでしょう。

しかし陰陽学説をしっかりと理解して、その考え方をもとにして治療を行わないと東洋医学を実践しているとは言えません。たとえはりやお灸を用いたとしても、現代の解剖学に基づいて神経や筋肉を刺激した場合は、それは東洋医学ではなく現代医学的な物理療法の一部でしかないわけです。

もちろん治療方法はさまざまでどれがよくてどれが悪いということをここで言いたいわけではありません。私自身鍼灸のメカニズムが科学的に研究され、解明されていくことは必要なことだと思っていますし、積極的に勉強するようにしています。

ただ鍼灸師は東洋医学を専門とする非常に珍しい職業です。鍼灸院に来院される患者さんの中にも東洋医学に興味があり、それを期待して来院される方も多くみえます。鍼灸師を名乗る限り東洋医学についての専門的知識を持っていることは東洋医学のプロフェッショナルとしての最低条件だと私は思っています。
反対に東洋医学についてまったく勉強する気もなく、理解しようともしないでただ否定しかしない鍼灸師の先生に出会うと同業者として悲しい気持ちになります。

話が長くなりましたがこのブログを読まれている方には鍼灸の学生さんもいるようなので、東洋医学に入っていきやすいようなお話をしたいと思います。

そこでタイトルにもある「陰陽学説を臨床に活かす」ですが、鍼灸の学校へ入学される方は当然将来鍼灸師を職業として生活していくことを目標にしているわけですから、学校の授業に求めるものは治せる技術と知識だと思います。にも関わらず気合を入れて学校へ入ったらいきなり出てくる陰陽学説や五行学説といった摩訶不思議な世界に面食らってしまうわけです。
「こんなことが臨床で役に立つの?」と思っても不思議ではありません。教科書には理論しか書かれておらず、実践方法が書かれていないからです。

次回から陰陽学説についての説明とその臨床への活かし方を簡単にですがまとめていきたいと思っています。
posted by 続木はり院 at 21:33| 東洋医学