2016年11月26日

陰陽学説の基礎@対立と互根

前回に引き続き陰陽学説を臨床にいかにつなげるかを考えていきたいと思います。まず現在鍼灸の学校で使われている教科書には基本内容として次の4つの特徴で説明しています。

@対立と互根(依存)
A対立と制約
B消長と転化
C可分

これを順番にみていきますので今回は@対立と互根(依存)について説明します。

「対立」とは〔上と下〕、〔左と右〕、〔天と地〕などのように文字どおり対立した関係性を言います。
「互根(依存)」とは”上”というものは”下”があるために存在するというように、1つの事象は単体では存在意義がなく、対立するものが存在してはじめて意義が生まれるというものです。

ではこれを人体に当てはめてみましょう。ここでは「寒(陰)」と「熱(陽)」を例にして考えてみます。
更年期の女性によくある症状にほてりとのぼせがあります。患者さんは胸や頭が熱く汗をよくかいてつらいと訴えてきます。ここで何も考えず単純に熱の症状だと思って治療すると失敗してしまいます。

「対立と互根」を頭において考えると「熱」があれば必ず「寒」があることになります。観察してみるとこのような症状をもつ方は足元が冷えているケースが多いです。大本は冷えていて体に残っていた熱が上半身や表面に昇り(熱の上昇する性質による)、見た目には熱の症状が出ているわけです。だからこのケースだと温める治療をして昇った熱を下に降ろして循環するようにしてあげるわけですね。

私の経験上、鍼灸院に来院される方、特に女性ではこの寒熱が分離しているケースがよく見られるので「対立と互根」について理解しておくと役に立つと思います。

次回は陰陽の基礎A対立と制約です。
posted by 続木はり院 at 22:04| 東洋医学