鍼灸学校の教科書の説明では、暑い日には静かに過ごして体温が上がらないようにし、寒い日には活動をして体温を上げるようにする、結果として陰陽のバランスをとることができるとあります。
教科書の内容だと治療法というよりも養生法といった感じです。患者さんに生活の中で気をつけることを陰陽をからめてお話すると面白いと思ってくれるかもしれませんね。
では陰陽の制約をどのようにして臨床に活かすかを考えてみます。まず制約という言葉ですが、抑制すると言い換えた方がわかりやすいかもしれません。熱のあるところを冷やすことで抑制する、冷えたところを温めることで抑制するといった感じです。
前回の互根(依存)では、一見熱の症状にみえてもどこかに冷えている部分があるというように、観察の仕方、捉え方に応用しましたが、今回の制約は治療手段として用いることができます。前回の例で示したのぼせの治療方法もこの制約の原則に当てはまります。
他にも虚したところは実にする(補法)、実したところは虚さしめる(瀉法)も制約ですね。ちなみに虚したところとは気や血が不足したところで弱っている部分です。そこに気や血を集めるようにして充足させる(実しめる)ようにはりをするのが補法(ほほう)です。実したところとは気や血の流れが悪く停滞していたり、邪気が溜まっているところで、それを散らしたり流れをよくするようにはりをするのを瀉法(しゃほう)といいます。
考え方はシンプルですので陰陽の制約は理解しやすいと思いますが、思い通りに治療効果を出すにははりの技術が求められるので実技の練習が重要となります。
次回は陰陽の基礎B消長と転化です。
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