2014年12月16日

気とはなにか?

五臓の説明の中にも時折「気」という言葉が出てきましたが、今回は気について説明します。

「気」という字のもともとの意味は米をふかすときに出る蒸気のことで、目には見えないけど物を動かす力があります。現代でいうところのエネルギーに相当します。

人が生活する上でこのエネルギー=気が原動力となります。現代ではエネルギーのもとになるのは食べ物の中にある栄養素(糖質、脂質、タンパク質)で、さらに生きていくためには空気中の酸素を必要とします。

同じように東洋医学でも飲食物の持つ栄養素を穀気、大気中の酸素を清気と呼んでいます。そしてこの気が身体全体に分配され、五臓を機能させる臓気、経脈を流れる経気などとそれぞれの名前がつけられます。

また現代の日常生活でも当たり前のように「電気」が使われていますが、これも目には見えませんが確実に存在し、物を動かしたり機能させる力があります。
他にも「気分がよい」「気のせい」「気に入る」「元気がでる」「空気を読む」などの「気」も目には見えませんが、感覚としては捉えることができます。

このように一見あやしいイメージをもたれることの多い「気」ですが、けっして非現実的なものではなく、私たちの身近なところに気は存在しています。

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2014年12月12日

五臓の協力関係

ここまで五臓の働きについて説明してきましたが、五臓はそれぞれが単独で活動しているのではなく、お互いに協力して人体の活動を支えています。

例えば脾が作り出した気・血を心と肺が全身に送り出したり、血を肝が貯蔵したり、気を精に変換して腎に貯蔵したりします。

ですから1つの臓の働きが低下すると、はじめはその臓に関連する症状のみで済みますが、そのまま放っておくと他の臓にも影響が出るようになります。

そのため鍼灸では全身をみる必要があり、治療する際にも全身のバランスを整える必要があります。このときに東洋思想の根幹となる陰陽説、五行説を用いるのですが、大変難しい内容なので、後日改めて説明していきたいと思います。

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2014年12月09日

腎の働き

「腎は精を蔵す」といわれ、精は成長・発育・生殖に深く関係し、生命活動の源となります。現代にも精力という言葉がありますが、腎が丈夫で精が充実していれば、エネルギッシュで何事にも積極的ですが、不足するとやる気もなくなり疲れやすく、性欲もわきません。
女性では不妊症の原因となります。また大部分の腰痛も腎の変調により起こります。

腎は目や髪の毛、脳の機能にも関係しているため、腎の働きが低下すると耳鳴りや難聴、白髪が増えたり脱毛する、物忘れがひどくなるなどの症状がでます。これらの症状は老化現象としてあらわれますが、腎が貯蔵している精が年数とともに減少していくためです。そのため精の消耗が早いとそれだけ老化も早く進行します。
他にも泌尿器としての働きや、骨の発育にも関係しています。

現代の腎臓は泌尿器であり尿を生成していますが、その上部には副腎という器官があります。この副腎からはストレスに対抗するホルモンであるコルチゾールや闘いのホルモンであるアドレナリン、生殖に関わる性ホルモンなどを分泌します。

これらのホルモンの量が不足すると、やる気が出ない、疲れやすい、精力減退などの症状が出ますので、東洋医学の腎はこの副腎も含めていると考えられます。

鍼灸により腎の働きを整えることによって勢力を充実させると、これらの症状を改善させることができます。

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2014年12月05日

肺の働き

「肺は気を主る」といわれ、呼吸によって大気中の清らかな気(清気)を体に取り込み、体内をめぐって汚れた気(濁気)を排出します。そして脾の作用により吸収された栄養素(精気、穀気)と清気を全身に循環させます。

また「肺は皮毛を主る」といわれ、皮膚と関係が深いとされています。そのため湿疹やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患は肺の変調ととらえます。

現代ではかぜの原因はウイルスや細菌の感染によるものだと解明されていますが、古代では顕微鏡もなかったため、その存在を確認することができませんでした。そのためその原因は邪気の侵入であると考え、邪気は皮膚表面から次第に奥深くまで入り込むと考えたのです。

ですからかぜの諸症状(咳、鼻炎、のどの痛みなど)には皮膚と関係が深いことから肺に関係するツボを選択します。他に花粉症や、ぜんそくなども肺の変調となります。

昔から行われていた乾布摩擦には皮膚をきたえて肺を丈夫にすることにより、かぜをひきにくくする効果があります。このように現代の日本人にも東洋医学は意外と身近なところにあるのです。

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2014年12月02日

脾の働き

脾は消化・吸収を行っており、口から入った食べ物を分解することにより体に必要な気や血を作り出しています。

また脾は五行でいうと「土」であり中央に当たるため、人体では同じ継ぎ目である関節と関係があります。ちなみに季節の継ぎ目を土用といいます。

他に脾は「思う」という感情に関係しているといわれ、考えすぎたりすると脾を傷つけます。悩んだりストレスを抱えていると食欲がなくなったり、便秘したり、胃がキリキリするのは脾の働きが悪くなったためです。

このような働きから脾の変調をきたすと消化不良、食欲不振、下痢、便秘、関節の痛みや膝に水がたまる、疲れやすい、体が重いなどの症状がでます。

この脾が現代医学のものと大きく異なる点について本間祥白氏はその著書「経絡治療講話」(医道の日本社)において「オランダ医書の翻訳のときに杉田玄白が、こんな重要な消化器官に脾なんという粗末な名称はいかん 〜 中略 〜 、そして萃(あつまる)、多く萃り栄えるところの臓器という意味から膵の名称を附し」と解説しています。つまり脾は現代の膵臓に相当するという考えです。

また現代の肝臓も消化吸収に関わっているため、肝機能の低下なども脾に関係するツボを選択します。

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