2015年03月16日

コリを探す!指の感覚のみがき方

今回のブログは鍼灸の学生や鍼灸師になりたての方向けの内容になりますが、ご興味があればお読みください。

コリを探すには指の感覚が重要になります。コリが出現する場所としてツボがあるというのは前回説明しましたが、ツボの反応としてそこの皮膚が力なくへこんでいたり、むくんでいる、ザラザラしている、湿っているなどの変化があります。その変化はわずかなので指の感覚が敏感である必要があります。

指の感覚をみがくのに最も適しているのはひたすらマッサージをすることです。長年マッサージを行っていると手に目ができて(あくまでイメージです)だいたいのコリの位置がわかるようになります。
実際江戸時代にはマッサージを10年経験しないとはりの修行をさせてもらえなかったそうです。私もこれにならって鍼灸専門の治療院として開業するまでマッサージを10年行いました。

鍼灸師の免許だけでマッサージ師の免許を持っていないという方には1人でできる指の感覚の鍛え方を紹介したいと思います。
例えばいくつかに折りたたんだタオルの中にコインを隠して上から手の感覚だけでコインのある場所を探します。タオルが薄いと簡単にわかってしまうので厚めのタオルで何回か折りたたんで調節しましょう。

そのほかに少し変わったもので、指先に磁石を近づけてS極かN極かを判断するというものもあります。この磁石を使った訓練法は私も学生時代にはある程度の期間行いましたが正直いって難しかったです。
それでもだんだんとわかるようになりましたが、ただ何となくといった感じで、はっきりと自信をもって判別することはできませんでした。

このように一見簡単にツボを探しているように見えますが、その裏では涙ぐましい(?)努力が隠されているのです。

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posted by 続木はり院 at 21:35| 治療について

2015年03月10日

コリの出現する場所

前回の続きでコリを探す指標となる経穴(ツボ)について説明したいと思います。

本屋の健康コーナーへ行くと必ずと言っていいほどツボに関する本が見つかると思います。全身にツボが点状に散らばっていて、ここを押すと肩こりに効く、目の疲れがとれるというような内容になっています。

このツボは無秩序に散らばっているのではなく、実は12本のライン上に存在しています。このラインを経絡と呼んでいます。(正確には経脈であり、絡脈とまとめて経絡と呼んでいます)

では話を元にもどして、いかにコリ(ツボ)を探すかですが、例えば肩が痛いという場合、その痛む場所を通過する経絡上にあるツボにコリがあらわれます。だからその延長上を手でさぐっていけば、こりを見つけることができます。そしてこのコリにはりを当てると症状が改善されます。

同じように目の症状には目を通過する経絡、胃の症状には胃を通過する経絡の延長上にコリがあらわれます。だから患者さんの症状を聞いて、関連する経絡を調べていけばコリが見つかるわけです。

ところがいくら指標となる経絡・経穴というものがあるといってもそう簡単にはいきません。指の感覚をきたえる必要があります。
次回は鍼灸師はどのようにして指の感覚をきたえているかを紹介したいと思います。

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タグ:ツボ 鍼灸
posted by 続木はり院 at 21:36| 治療について

2015年03月06日

なぜ触っただけで痛いところがわかるの?

患者さんから受ける質問で多いのが、なぜ触っただけで痛いところがわかるのか?というものがあります。

その答えとしては痛みのある場所には高い確率でグリグリと硬くなったもの(いわゆるコリ)があります。このコリを探し当てることができれば痛いところがわかるようになります。

またコリの大きさや硬さはそれぞれ違っていて、当然大きいものほどわかりやすいので誰でも触って確認できるのですが、小さいもの、もしくは深い部位にあるコリは探すのが難しくなります。

この探すのが難しいコリを見つける指標になるのが皮膚の変化です。

どのように変化するかというと、一部分だけが力なく凹んでいたり、ザラザラしていたり、湿ったりしています。その奥にコリがあるのでそこを押したり、はりを刺入すると重い感覚(イタ気持ちいい)が起こります。
この皮膚の変化をさぐるために軽く触れるので冒頭のような質問をされるわけですね。

ではこのコリのある場所を探すためにやみくもに全身を触っていても効率が悪く時間ばかりが過ぎてしまいます。
しかしコリを探す指標となるものがあります。それが鍼灸において重要な経絡・経穴(ツボ)になります。

次回はツボとコリの関係について説明したいと思います。
タグ:ツボ 鍼灸
posted by 続木はり院 at 21:50| 治療について

2014年11月14日

深いはりと浅いはりの違い

鍼灸院によってはりを刺す深さが違います。非常に長いはりで深く刺す先生から、深さ数ミリ程度、もしくは皮膚に触れるだけの浅い刺激で充分に効果を発揮させる先生もおられます。
また症状や患者さんの体質によって深さを変える鍼灸院もあります。(当院はこのタイプです)

でははりの深さによってどのような効果の違いがあるのでしょうか?
まずわかりやすいのが坐骨神経痛などで臀部(おしり)に刺すときは神経が奥の深いところにあるので長いはりを使います。また筋肉の深いところにあるコリをゆるめる際にも深く刺します。

ところが数ミリ程度〜触れる程度の浅いはりでも筋肉のコリをゆるめることができます。そのメカニズムは科学的に完全には解明されていませんが、生体の反射作用が関係しているのではないかと考えられています。

外からの刺激を感知するセンサーにスイッチが入るとその情報が脳に伝わるのですが、それと同時に反射的にその部位の血管が拡張して血行がよくなります。コリとは血流が悪くなった状態ですから、血流が改善されればコリもゆるむことになります。そしてこのセンサーは皮膚から数ミリの浅いところにあります。

つまり浅いはりによってこのセンサーを効率よく刺激することができます。深いはりではこのセンサーを通過してしまう可能性があります。ただコリに直接はりを当てると瞬時にコリがゆるむので、即効性は深いはりの方が高いと私は感じています。

他にも鍼灸には全身の調整、つまりホルモンバランスや自律神経、内臓の機能改善にも効果がありますが、これには上記の理由から浅いはりの方が有効であると考えています。

ですから当院ではまず最初に浅いはりで全身の状態を整えてから残ったコリに対してやや深く刺すというように2つの長所を生かすようにしています。
もちろん深いはりや強い刺激が苦手という方には浅めの軽い刺激で対応しますので遠慮なくおっしゃってください。
posted by 続木はり院 at 22:33| 治療について

2014年10月28日

鍼灸に副作用ってあるの?

鍼灸治療には薬のような副作用や習慣性はありませんが、強いてあげるとすれば内出血による青あざがまれにできることがあります。見た目の問題だけで健康上の心配はありませんが、通常10日前後で消えていきます。

この内出血には起こりやすい人と起こりにくい人がいます。経験上高齢の方で特に女性の方に起こりやすい傾向があります。どうしても年齢とともに血管ももろくなっていくので、血管も破れやすくなります。日常生活でも少し何かにぶつけただけで青あざになることが多くなります。それとは反対に定期的に治療に通っている方で数多く治療を受けているにもかかわらずまったく内出血が起こらない方もみえます。

ちなみにある鍼灸雑誌による統計では1000回はりをうったら3回ほど内出血が起こっているとのことです。

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タグ:鍼灸 内出血
posted by 続木はり院 at 21:45| 治療について