これまでの記事で副腎とそこから分泌されるDHEAが若さと活発な生活を送るために重要な働きをしていることを紹介してきました。今回は鍼灸で副腎の疲労を回復し、DHEAの分泌を促進できないかを考えていきたいと思います。
東洋医学には
五臓六腑というものがあり、その中に
腎というものがあります。腎の主な働きは成長、発育、生殖です。そして腎の機能が衰えると(腎虚といいます)老化が早くなったり、精力減退、物忘れ、冷え性、疲れやすいなどの症状があらわれます。
そこで現代の副腎から分泌されるホルモンの働きと比較してみましょう。
@生殖機能、成長・発育 = 男性ホルモン
男性ホルモンは性欲を湧かせ、生殖器を発達させます。また筋肉を発達させる働きもあるため、東洋医学の腎の働きである成長・発育と共通しています。また筋肉が増えれば熱の生産も増えるため体温も高くなります。
A老化 = DHEA分泌減少 → コルチゾール増大 → 活性酸素増加
腎虚になると老化が早く進みますが、これを現代の副腎に当てはめると上記のような流れになります。活性酸素には体をサビつかせる働きがあるため活性酸素が増えると老化が早く進みます。
B物忘れ = 女性ホルモンの分泌低下
腎虚になると物忘れがひどくなります。女性ホルモンには脳の神経細胞の結合を促す働きがあり、記憶力をアップさせます。当然女性ホルモンの分泌が低下すれば物忘れも多くなります。
C疲れやすい = DHEA分泌低下
DHEAには抗ストレス作用があるため、分泌が低下するとストレスに弱くなりやる気が低下します。また活性酸素は疲労物質です。DHEAの分泌が減ると活性酸素の量が増えて疲れやすくなります。
このように東洋医学の腎には現代の副腎と共通しているものがたくさんあります。昔の人々は腎臓とその上に載っている副腎をまとめて腎と考えていたのではないでしょうか。
とすれば鍼灸によって腎に関係する経絡・経穴(ツボ)を使えば副腎の疲労をとることができるはずです。また実験により鍼灸の刺激で内臓の血流が改善されることも認められています。
実際上記のような腎虚の症状は鍼灸院ではよくみられますが、多くの方が鍼灸によって元気をとりもどしていきます。病院ではないため血中のホルモン濃度を調べることはできませんが、症状が改善されたということは数値に変化が起きた可能性は十分考えられます。
なんだか最近疲れがとれなくてやる気も出ない、急に性欲が落ちたという方は一度鍼灸を受けてみてはいかがでしょうか?
次回はなかなか時間がなくて鍼灸院へは行けないという方のために家庭でできる腎のツボを紹介します。
posted by 続木はり院 at 22:00|
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